
マスタリング・ソフトウェア黎明期に生まれたT-RackS。プラグイン、スタンドアローンとも究極のシステムに。
1999年にいち早くアナログ・マスタリング機器の回路をモデリングしたソフトウェアとしてリリースされて以来、多くの音楽制作者、プロデューサー、エンジニアに使われているT-RackS。
一人で音楽制作を行っている初心者から、ヒットソングを連発しているプロフェッショナルまで、アナログ機器のフィール、粘り、暖かさ、滑らかさを感じさせる音楽的なサウンドで高く評価されてきました。
2012年のT-RackS 4リリース後初のメジャー・アップグレードとなるT-RackS 5では、4つの新モジュールが加わり計38種のモジュラー・システムになった他、192kHz、32-bit浮動小数点セッション対応の新エンジン、16個のプロセッサをシリアル/パラレル接続できるスイート、ラウドネス、VUなど放送、ストリーミング用のマスター制作に対応したメーター、表示サイズ可変の新しいインターフェースなど、すべてが刷新されています。
T-RackS 5は、ドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカルなど各トラックのトリートメント、マスタリングから、配信、CD作成用マスターの書き出しまで、音楽制作過程のすべてで使えるミックス & マスタリング・モジュラー・システムです。
T-RackS 5で変わったのは、見た目だけではありません。新しい4つのモジュールが追加され、合計38種のモジュールが使えるになりました。
T-RackS 5 Master Matchは、リファレンスとなるトラックを3つまで読み込み、解析することで、その特性をマスターまたはインサートしたトラックに適用します。
Master Matchに参照したいトラックを読み込み、「Learn References」ボタンをクリックすると、その周波数バランス、聴感上のラウドネスの解析を行います。次に「Learn Source」ボタンをクリックするとMaster Matchのインサートされたトラックの解析を行います(他のプラグインもお使いの場合は、Master Matchはシグナル・チェーンの最後にインサートしてください)。最後に「Match」をクリックすると高度なアルゴリズムにより、リファレンスとなるトラックの特性がインサートしたトラックにて再現されます。
適用されたEQカーブは自由にエディット可能なので、リファレンス音源の特性を参照しながら最適なマスターを仕上げることができます。
Master Matchについて詳しくはこちらからT-RackS 5 Dyna-Mu Vari-mu Compressor/Limiter は、アメリカ製の名機をモデルにしたコンプレッサー/リミッター・モジュールです。トランスフォーマー、オール・チューブ仕様による特徴ある音により散漫なミックスを糊付けし、まとまりのあるマスターを仕上げることができます。
参照された実機はマスタリング・スタジオの定番として有名ですが、ミックス時も使えます。ドラム・バスにてパラレル・コンプレッサーとしてかけて、ルーム・アンビエンスの量を調整する。ミックスに埋もれないボーカルを仕上げる。ベースにかけてソリッドな存在感を際立たせる。派手にプッシュしたい時も、繊細に存在感を調整したい時も、いつも使いたくなるプラグインになることでしょう。
T-RackS 5 EQual Digital Equalizerは、まったく新しい10バンドのパラメトリック・イコライザーです。かつてないほど高い解像度の、透明で正確なデジタル処理を基本としながら、Neve、SSL、APIなどアナログEQ名機をモデルにしたフィルター・カーブも呼び出せる「ハイブリッド・モンスター」となっています。
リアルタイムに表示される周波数メーターを観ながら調整したいポイントをクリックすれば、そこにEQバンドが設定されます。インターフェースのサイズを調整可能なT-RackS 5の仕様を活かしてフルスクリーンで表示すれば、気を散らす要素を排除して超高精細なEQ処理に集中するという、新しいミックス、マスタリング体験が生まれます。
現存するデジタル製品のなかで最も透明で、高い解像度の処理が行えるEQとして、あらゆるトラック、マスターの処理に通用するプロセッサーです。
EQualについて詳しくはこちらから
T-RackS 5 ONE Mastering Processorは、1画面でマスタリング処理が行える「オール・イン・ワン」モジュールです。EQ、コンプレッサー、アナログ・ハーモニック・エキサイター、ローエンド・エンハンサー、リミッターが一体化され、直感的に、多くの人の心をつかむマスターを仕上げることができます。
ONEについて詳しくはこちらから
T-RackS 5は、用途にあわせて3種類の起動モードでお使いいただけます。
スタンドアローン・スイート:16個のプロセッサを起動して、シリアル/パラレル接続できるマスタリング・スイート。楽曲にあわせて、複数の機材を選び、マスタリング・チェーンを構築するトップ・マスタリング・エンジニア同様、EQ、コンプレッサー、リミッター等を組み合わせた処理と、詳細なメーターによる視覚的な確認を1画面で行うことができます。各曲の音質を整えたり、長さを調整するだけでなく、複数の曲を読み込んで、アルバム曲順に沿って曲間、フェードを調整して、各曲またはアルバム全体をWAV、AIFF、DDPなどのフォーマットで書き出し可能です。
プラグイン・スイート:スタンドアローン版スイート同様、16個のプロセッサを起動して、シリアル/パラレル接続できるマスタリング・スイート。マスター・トラックだけでなく、ドラム・バス用、ボーカル処理用など、複数のプロセッサーによる処理をプリセットとして保存しておけば、ワークフローの一貫性を確立し、ミックス時の時間節約にも役立つでしょう。
シングル・プラグイン:すべてのT-RackSモジュールは、単体プラグインとして起動可能です。EQ、コンプレッサー、リミッター、リバーブ、メーターなど必要な場面にあわせて、個別のトラック、バス、AUX、マスター・トラックなどで自由に活用して下さい。
T-RackS 5では、スタンドアローン、プラグインとも表示サイズを調整可能な新しいインターフェースが採用されています。
16個のプロセッサを起動して、シリアル/パラレル接続できるマスタリング・スイートでは、モジュールをサイドバーのブラウザーから挿入したいポイントにドラッグするだけで、各プロセッサーをアサイン可能です。モジュールを上、シグナル・チェインを下と同時表示も可能なので、シグナル・チェイン上で操作したいモジュールをクリックしてエディットを行い、次のモジュール操作に移るといったワークフローがスムーズに行えます。
画面下には波形のトリム、フェード、ループ再生ポイントの設定などが簡単に行えるウェーブフォームも表示可能です。波形には各モジュールの設定を記録するスナップ・ショットを置くこともできます。画面右側のメーターと合わせてフル画面表示すれば、全神経をマスタリングに集中して、繊細な処理に没頭できるでしょう。
T-RackS 5では、最大192kHz、32-bit浮動小数点プロジェクト/セッションまで対応する新エンジンが導入されました。ハイレゾ対応のセッションでも、最高の解像度にてミックス、マスタリングを行えます。
ディザーも4種類用意されました。書き出し先、配信、再生フォーマットに合わせてビットレートを落とす必要がある場合も、オーディオ素材のキャラクターにあったディザーをお選びいただけます。
リサンプリング・エンジンも改良され、信号処理の最終段階で民生機器でのCD、圧縮音源の再生時にクリッピングの原因となるインター・サンプル・ピークを抑えるDDM(デジタル・デリバリー・マスタリング)オプションも備わっているので、ターゲットが何であっても破綻しないマスターを仕上げることができます。
多くの音楽家、エンジニアに愛用されているT-RackSのメーターが、増強されました。
放送、ストリーミングを問わず、ラウドネス規準に基づき音量が最適化されることが増えた今日の環境に対応し、LUFSラウドネス・メーターも装備されました。リファレンスとしてEBU R128、日本の放送局で採用されているARIB TR-B32等が選べる他、Apple Music、Others(主なストリーミング・サービス)にてサウンドチェックON時に適用される参照値も表示できるので、配信、再生時に強制レベル調整の対象となるマスターになっていないか事前に確認可能です。
ピーク、RMS、ダイナミック・レンジ・メーターを組み合わせて「クレスト・ファクター」を観察すれば、静かなパート、大音量なパートの抑揚があり感情表現にあふれたマスターにするか、全体的に音量差の少ないマスターにするなど、意図に応じた結果になっているかを視覚的に確認することができます。直感的に聴感ボリュームを把握できるVUメーターも用意されています。
スペクトログラム、フェーズ・スコープ、コアレション・メーターなどもそろっており、周波数帯域の偏り、不自然な特定帯域のピークやディップ、位相の乱れになっていないかを監視することもできます。
M/Sメーターもあるので、ステレオ空間に広がりのあるマスター、目の前に迫ってくるようなマスターなど、求めるイメージになっているかを視覚的に確認することもできます。
T-RackS 5のメーターは、シングル・プラグイン、マスタリング・スイートの一部として表示するだけでなく、フローティング・ウィンドウとして別途表示できるようになりました。
T-RackS 5のスタンドアローン版では、複数の曲を読み込んで、各曲の調整をした後、アルバム曲順に沿って曲間、フェード、トラックID、ISRCコード、CDテキストなどのメタデータを記述して、各曲をWAV、AIF書き出しするだけでなく、アルバム全体Wav Cueファイル、DDPイメージなどのフォーマットで書き出し可能です。
曲単位での販売、配信が主流になったと言われる現代にあっても、アルバム全体の流れ、体験をプロデュースする喜びは格別でしょう。
T-RackS 5では、新しいモジュール、機能だけでなく、世界のトップ・エンジニアによるシグニチャー・プリセットも追加されています。T-RackS各モジュールのモデルになった実機でヒットソングを生み出す中で編み出したノウハウ、T-RackSならではの仕様を活かしたプリセットは、ミックス、マスター時に大きな助けとなるでしょう。
「グラミー賞常連エンジニアのプリセットを使えば、あなたもグラミー賞を受賞できます」と保証することはできませんが、素晴らしいサウンド、多くの学びが得られるのは間違いありません。
シグニチャー・プリセットは、今後も追加されていく予定です。IKウェブサイトをブックマークするか、ニュースレターを購読して、最新情報をご確認下さい。
>シグニチャー・プリセットの詳細、エンジニアについてはT-RackS 5 Signature Presetsページをご確認ください。
シグニチャー・プリセットは、T-RackS 5 Custom Shop、T-RackS 5、T-RackS 5 Deluxe、T-RackS 5 MAXを登録、オーサライズした方に、ユーザーエリアにて無償で提供されます。
Tom Lord-Alge
Nick Davis
T-RackS 5には、複数の購入オプションが用意されています。
すでにT-RackSモジュールのほとんどを持っている、という方は9モジュールがバンドルされたT-RackS 5をお選び下さい。改良されたエンジン、インターフェース、増強されたメーター、アルバム単位での書き出し機能といった最新の仕様とともに、新しい4つのモジュールが入手でき、すでに購入/登録済のT-RackSモジュールもT-RackS 5でお使いいただけます。T-RackS 5には、EQ、コンプレッサー、マルチバンド・リミッターなどクラシックな5モジュールも含まれているので、最初のT-RackSとして導入しても、基本的なミックス、マスタリングには困らないバンドルになっています。
T-RackS 5に含まれるプロセッサー:
ヴィンテージ・コンプレッサー、リミッターの定番モデル、リニアフェーズEQ、コンプレッサー、収録後にマイクを差し替えるような操作が可能なMic Roomなど、もう少し多様なモジュールが欲しい、という方には、22モジュールがバンドルされたT-RackS 5 Deluxeがちょうどいい選択です。
透明なリミッター処理が話題のStealth Limiter、マスタリング・スタジオ定番のEQがモデルになったMaster EQ 432など、最新のモデルをそろえたい、という場合は38モジュールがバンドルされたT-RackS 5 MAXをお選び下さい。€99.99以上のIK Multimedia製品を購入/登録なさっている方には、お得なクロスグレード版も用意されています。
とりあえず、一部の機能、モジュールだけでも試してみたいという方は、無償でダウンロードできるT-RackS Custom Shopもご利用いただけます。T-RackS Custom Shopでは、T-RackSの各モジュールを個別に追加購入したり、購入前のモジュールを14日間試用することもできます。
この製品が含まれるバンドル
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