味気ない音になりがちなピックアップとは異なり、楽器本来の音、空気感、響きまで伝えるソリューションとして多くのギタリストにお使いいただいているiRig Acoustic Stage。クラシック、ポップス、中世古楽、民族音楽と幅広い音楽でご活躍の富川勝智さんにお話を伺いました。
振動を伝えるだけの味気ない音になりがちなピックアップとは異なり、楽器本来の音、空気感、響きまで伝えるソリューションとして多くのギタリストにお使いいただいているiRig Acoustic Stage。クラシック、ポップス、中世古楽、民族音楽と幅広い音楽でご活躍の富川勝智さん（洗足学園音楽大学クラシックギター科講師）にお話を伺いました。
- クラシックギターの演奏時には、どんな点に気をつけるべきでしょうか?
富川：クラシックギターという楽器は「生音」勝負の楽器です。音響設計がしっかりとなされた中規模のホールで演奏会を行うために設計されています。とはいえ、昨今はレストランやバーなどでの演奏も増えています。
生音を活かせる環境にない場合は、やはりPAシステムに頼らざるを得ません。また私個人がやっている音楽ユニットではエレキベースやエレキギター、場合によってはドラムとの共演も多く、やはり生音では音量的に太刀打ちできません。こういう場合にクラシックギタリストが取る手段はいくつかあります。
- それは、どんな方法ですか?
富川：マイクで音を拾う、もしくはギター自体にピエゾマイクなどをとりつけてPAシステムに音を送る…。または最初からピックアップが取り付けられているエレクトリックガットギター（エレガット）を使う…。いろいろな方法があり、私自身も考えられるすべての方法を試してきました。
エレガットもいろいろなブランドのものを試してきましたが、やはり純粋なクラシックギターに比べると、音質的にもプレイアビリティ的にも違和感がありました。なので、いろいろなマイクシステムを試すことになります。音響関係の友人と相談しながらマイクをセレクトし、ミキサーを通しスピーカーを通すというシステムを構築はしておりましたが、セッティングが煩雑で持ち物も増えてしまうという悩みをずっと抱えていました。
「ちゃんと使える音質で」、「セッティングや運搬が楽な」マイクシステムを探していたところ試す機会があったIK Multimedia社のiRig Acoustic Stageはまさにその要求に応えるものでした。
- お使いになってみて、いかがでしたか?
富川：最初は半信半疑でしたが、本番で用いて最初に感じたのが「クラシックギターの生音に聴こえる」ということでした。それは普段の私の生音のコンサートに来ているファンの方からも、「エレクトリック楽器に負けないくらいの音量でしたけど、楽器を変えたんですか？」と訊かれたほどです。
- 実際は、どうだったんですか?
富川：もちろん、楽器はいつもと同じ楽器です。これはiRig Acoustic Stageが楽器本来の音色を忠実にPAシステムに伝えている証拠です。iRig Acoustic Stageにはプリアンプユニット部に6種類のプリセットが用意されていますが、それは会場の音響環境に応じて使い分けています。ですが楽器本来の個性を失うことなく、良い意味で楽器の音を最適化してくれるものであると私は考えて使っています。
- 楽器本来の個性を失うことなく、という点を詳しくお聞かせください。
富川：自分が所有している何種類かの楽器でiRig Acoustic Stageを使ったことがありますが、各楽器の個性をしっかりと尊重してくれます。マイクで音を拾うという方法の場合、そのライブ会場の所有するマイクの個性やマイキングの違いによって「クラシックギターらしからぬ」音になってしまうことも多くありました。
そんな不安はiRig Acoustic Stageの場合には一切ありません。
- お使いになるのは、ソロ演奏の時だけですか?
富川：ヴァイオリンやフルート、生歌との共演で少しだけ音量をプラスしたいような場合にも効果的です。楽器が鳴る生の音をメインにして、iRig Acoustic Stageから出力された音を足しても違和感がないのです。生音とiRig Acoustic Stageからの音を半々くらいで混ぜ合わせて使う場合でも、アンビエンス的に使う場合でもクラシックギターらしさを失わないのです。
- その他、気づいたことはありますか?
富川：裏技的な使い方ですが、ちょっとだけアンビエンス的に使いたい場合に、譜面台の脇にiRig Acoustic Stageのマイクをつけて、そこからアンプなどに音を回すという“説明書にはない”方法もあります。軽くリバーブ感を足しつつ、輪郭を失わないクラシックギターの生音を演出することができます。これは、友人ギタリストの和泉聡志さんから教えてもらった使い方です。
- ギタリスト同士で使い方の情報が広まっているというのは、とてもうれしいです。
富川：単三電池で駆動するのも便利ですし、なによりもカバンに入るくらいコンパクトにまとまります。PAなしでも生音で大丈夫かな？…という会場でも、万が一のためにいつも持っていくことにしています。小さなバーやレストラン、あるいはパーティー会場などで会場にふさわしい音量が得られないときの“保険”というわけです。
「備えあれば憂いなし」というわけですが、保険のために大規模なシステムやアンプなどを持っていくことはできません。コンパクトなiRig Acoustic Stageならば、そんな保険も手間いらずです。
- 最期に、ギタリストの皆様にメッセージをいただけますか?
富川：愛器の個性を殺さずに音量だけを簡単に増幅することができ、マイクセッティングの煩雑さもないというiRig Acoustic Stage。ヴァイオリンやチェロや歌などとのアンサンブルとの共演が多い方や、レストランやパーティー会場などの演奏機会が多い方にはオススメの機材です。もっていて困ることはない。そして、いざというときにしっかりとその楽器らしさをだしつつ音量面での不安を解消してくれる頼れるツールなのが、このiRig Acoustic Stageなのです。
富川勝智（とみかわまさとも）プロフィール
クラシックギターの本格的なプログラムによる演奏会と同時に、都内ライブハウス、美術館やカフェなどの“ライブ”によってクラシックギターの魅力をより多くの人に伝えるべく活動を続けている。スペイン音楽とギター音楽の研究の分野でも活躍し、通常のクラシックギター（モダンギター）に加え、オリジナル19世紀ギターやテルツギターなども使用したコンサートを行ない、可能性を広げている。また最近は他ジャンルのミュージシャンとの共演も多く、「ねこぢた」、「Acoustic Ladyland」、「イベロリベロ」などのユニットでも、ポップス～中世古楽～民族音楽まで幅広い音楽性を発揮し活動している。洗足学園音楽大学クラシックギター科講師（ワールドミュージック科講師兼任）。公益社団法人日本ギター連盟理事。日本音楽表現学会会員。
iRig Acoustic Stageは、amazon.co.jp、デジマート、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどオンラインストアおよび全国のIK Multimedia販売代理店にてお買い求めいただけます。
予備のiRig Acoustic Stage Micは、フックアップ・オンラインストアでも購入可能です。
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